検証済みアルゴリズム#
注釈
このページを読むべき方:
解析手法の数学的・物理学的な妥当性を確認したい研究者
外部ライブラリ(SciPy, LALSuite 等)と GWexpy の数値的な計算誤差を知りたい開発者
使用するアルゴリズムが前提としているデータ特性(定常性、ガウス性など)を確認したい方
重要
高度な検証・理論ページです
このページは、機能ドキュメントから辿れるようあえてユーザーガイド配下に置いていますが、オンボーディング用のページではありません。API リファレンス・理論ノート・個別チュートリアルを横断して監査目的で読むための、上級者・理論向けの入口として扱ってください。初めて使う際の案内は、はじめに、前提条件と規約、または各手法のチュートリアルから始めてください。
このページで扱うアルゴリズムには、公開された実装テスト、理論参照、または監査記録があります。これらの根拠は別種であり、対象範囲は以下の各アルゴリズムで示します。
検証の基準と計算精度 (Validation & Precision)#
このページで扱うアルゴリズムは、それぞれの節に記録した根拠に対して評価されます。
許容誤差:数値許容誤差はアルゴリズムとテストごとに異なります。利用可能な場合、該当するテストまたは監査項目に比較内容と合格条件を示します。
不変性:スケール不変性の確認は、その確認を根拠として明示したアルゴリズムだけに適用されます。パッケージ全体の保証ではありません。
客観的証拠 (Objective Evidence)#
このページの要約は、このページ内に整理した公開向けの検証証跡に基づいています。
この証拠表は監査証跡を 1 ページにまとめるため、列数を多めに保っています。モバイルでは共有 CSS に合わせた横スクロール前提で読むのが自然です。
証拠の種類 |
公開資料 |
何を示すか |
|---|---|---|
監査スコープ |
検証サマリ |
どのアルゴリズムを、どの観点で点検したか |
統合結果 |
アルゴリズム別セクション |
独立監査の統合所見、重大度、合意度 |
修正履歴 |
監査証跡 |
指摘後に何を修正したか |
Field 系の物理レビュー |
k-space 計算 |
|
参照元一覧 (Source References)#
各アルゴリズム節では、文献・内部資料の参照をこの一覧のキーに寄せて、出典管理をこのページで一元化します。
キー |
資料 |
用途 |
|---|---|---|
|
Press et al., Numerical Recipes (3rd ed., 2007), §12.3.2 |
k-space 計算と FFT 軸解釈 |
|
Percival, D.B. & Walden, A.T., Spectral Analysis for Physical Applications (1993), Eq.(56) |
Welch オーバーラップ / VIF 補正 |
|
時刻系と FFT 規約に関する共通前提 |
|
|
ホワイトニングの安定化指針 |
|
|
客観的証拠 と後述の Audit Trail |
transient FFT と複素 GLS / MCMC 挙動の実装根拠 |
検証済みアルゴリズム要約表#
アルゴリズム |
主対象 API |
API ページ |
証拠 |
関連チュートリアル |
|---|---|---|---|---|
k-space 計算 |
|
客観的証拠 |
||
Transient FFT |
|
客観的証拠 |
||
VIF 補正 |
|
客観的証拠 |
||
予測時刻計算 |
|
客観的証拠 |
||
MCMC / GLS 尤度 |
|
客観的証拠 |
||
適応ホワイトニング |
|
客観的証拠 |
このページの読み方#
共通の前提条件、時刻系、FFT 規約を先に整理したい場合は 前提条件と規約 を入口にしてください。
監査メモより先に手を動かしたい場合は、要約表にある個別チュートリアルから該当手法だけ読むのが最短です。
実装側の API を先に確認したい場合は フィールド API, Time Series API, Spectral API, Fitting API, 前処理 API を参照してください。
検証の背景や監査メモまで追いたい場合は、後述の 客観的証拠、参照元一覧、Audit Trail を参照してください。
各アルゴリズムの詳細と仮定#
1. k-space Calculation#
対象: gwexpy.fields.ScalarField.fft_space()
角波数の計算は、物理学の標準定義 \(k = 2\pi / \lambda\) に従っています。
前提条件・仮定:
空間座標 (\(x, y\)) が**等間隔(Uniform Grid)**であること。
非等間隔グリッドの場合は、事前に補間を行わない限り正しい波数軸は得られません。
参照元: S1
関連チュートリアル
関連 API
関連理論
2. Transient FFT (Amplitude Spectrum)#
対象: TimeSeries._fft_transient
密度スペクトル(PSD)ではなく、時間領域のピーク振幅を直接読み取れる振幅規約を採用しています。
前提条件・仮定:
入力信号に窓関数が適用されていないこと(矩形窓を前提)。
窓関数適用済みのデータに対しては、別途コヒーレント・ゲインによる補正が必要です。
参照元: S5
関連チュートリアル
関連 API
関連理論
3. VIF (Variance Inflation Factor)#
対象: gwexpy.spectral.estimation.calculate_correlation_factor()
Welch 法等におけるセグメント間のオーバーラップによる有効サンプル数の減少を補正します。
ここでの VIF は回帰分析の Variance Inflation Factor をそのまま指すのではなく、オーバーラップ窓による分散膨張補正をコード上で calculate_correlation_factor() として実装したものです。理論名と関数名が異なるのは、API では「相関補正係数を計算する」役割を明示するためです。
前提条件・仮定:
データが弱定常 (Weakly Stationary) であること。
非定常なグリッチやステップ応答が含まれる場合、VIF は分散を過小または過大評価する可能性があります。
参照元: S2
関連チュートリアル
関連 API
関連理論
4. Forecast Timestamp (ARIMA)#
対象: gwexpy.timeseries.arima.ArimaResult.forecast()
GPS 時刻系における連続性を保証するため、LIGO 規約に従った歩進計算を行います。
代表的な更新式は forecast_t0 = t0 + n_obs * dt です。ここで、
t0: 元データ系列の開始 GPS 時刻n_obs: 学習に使った観測点数dt: サンプル間隔(秒)
を表します。
前提条件・仮定:
時刻系は GPS 時刻(閏秒なし) であること。
UTC 等の閏秒が存在する時刻系でそのまま使用すると、将来予測時に 1 秒のズレが生じます。
参照元: S3
関連チュートリアル
関連 API
関連理論
5. MCMC / GLS Likelihood#
対象: run_mcmc, GLS
MCMC の対数尤度計算では、複素残差に対してもエルミート形式 r.conj() @ cov_inv @ r の実部を用いる実装を前提にしています。つまり、複素データを API にそのまま渡した場合でも、内部では複素共役を考慮した二次形式で評価されます。
前提条件・仮定:
共分散行列
cov_invがエルミート正定値に近いこと。複素残差は circular complex Gaussian に準じた扱いを想定しており、単純に実部だけへ切り捨てる挙動ではありません。
参照元: S5
関連チュートリアル
関連 API
関連理論
6. Adaptive Whitening#
対象: TimeSeriesMatrix.whiten_channels(eps="auto")、whiten_matrix()、gwexpy.signal.preprocessing.whiten()、WhiteningModel
適応ホワイトニングでは、自動的に決まる安定化パラメータを用いて、非常に小さい PSD ビンや局所的な数値アンダーフローがあっても正規化が破綻しにくいようにしています。
前提条件・仮定:
ホワイトニングに用いる FFT セグメントの範囲では、データが局所的に準定常とみなせること。
適応
epsは小さい分母を安定化するためのものであり、明らかに非定常なバーストや不適切な窓長設定まで補償するものではありません。
参照元: S4
関連チュートリアル
関連 API
関連理論
監査証跡 (Audit Trail)#
公開向けの監査証跡は、開発者向け・履歴管理用のレビュー資料へ直接誘導せず、 このページ内に要約しています。上の検証サマリ表で対象アルゴリズム群を示し、 各アルゴリズム別セクションで公開向けの前提、実装状況、関連理論への導線を記録しています。
次に読む#
前提条件と規約 - このページの前提になる時刻系と FFT 規約を整理する
数値安定性 - 適応ホワイトニングなど安定化の挙動を補う
アーキテクチャとデータフロー - 検証対象 API がどの設計の上にあるかを確認する
チュートリアル一覧 - 各手法の実用例を示すタスク指向のノートブック