開発版ドキュメント · 0.2.3 30c2f8ba · 入門例の検証対象 0.2.3 · 版情報 · 既知の制限

検証済みアルゴリズム#

注釈

このページを読むべき方:

  • 解析手法の数学的・物理学的な妥当性を確認したい研究者

  • 外部ライブラリ(SciPy, LALSuite 等)と GWexpy の数値的な計算誤差を知りたい開発者

  • 使用するアルゴリズムが前提としているデータ特性(定常性、ガウス性など)を確認したい方

重要

高度な検証・理論ページです

このページは、機能ドキュメントから辿れるようあえてユーザーガイド配下に置いていますが、オンボーディング用のページではありません。API リファレンス・理論ノート・個別チュートリアルを横断して監査目的で読むための、上級者・理論向けの入口として扱ってください。初めて使う際の案内は、はじめに前提条件と規約、または各手法のチュートリアルから始めてください。

このページで扱うアルゴリズムには、公開された実装テスト、理論参照、または監査記録があります。これらの根拠は別種であり、対象範囲は以下の各アルゴリズムで示します。

検証の基準と計算精度 (Validation & Precision)#

このページで扱うアルゴリズムは、それぞれの節に記録した根拠に対して評価されます。

  • 許容誤差:数値許容誤差はアルゴリズムとテストごとに異なります。利用可能な場合、該当するテストまたは監査項目に比較内容と合格条件を示します。

  • 不変性:スケール不変性の確認は、その確認を根拠として明示したアルゴリズムだけに適用されます。パッケージ全体の保証ではありません。

客観的証拠 (Objective Evidence)#

このページの要約は、このページ内に整理した公開向けの検証証跡に基づいています。

この証拠表は監査証跡を 1 ページにまとめるため、列数を多めに保っています。モバイルでは共有 CSS に合わせた横スクロール前提で読むのが自然です。

証拠の種類

公開資料

何を示すか

監査スコープ

検証サマリ

どのアルゴリズムを、どの観点で点検したか

統合結果

アルゴリズム別セクション

独立監査の統合所見、重大度、合意度

修正履歴

監査証跡

指摘後に何を修正したか

Field 系の物理レビュー

k-space 計算

ScalarField の FFT と軸整合性に関するレビュー

参照元一覧 (Source References)#

各アルゴリズム節では、文献・内部資料の参照をこの一覧のキーに寄せて、出典管理をこのページで一元化します。

キー

資料

用途

S1

Press et al., Numerical Recipes (3rd ed., 2007), §12.3.2

k-space 計算と FFT 軸解釈

S2

Percival, D.B. & Walden, A.T., Spectral Analysis for Physical Applications (1993), Eq.(56)

Welch オーバーラップ / VIF 補正

S3

前提条件と規約

時刻系と FFT 規約に関する共通前提

S4

数値安定性

ホワイトニングの安定化指針

S5

客観的証拠 と後述の Audit Trail

transient FFT と複素 GLS / MCMC 挙動の実装根拠

検証済みアルゴリズム要約表#

アルゴリズム

主対象 API

API ページ

証拠

関連チュートリアル

k-space 計算

ScalarField.fft_space()

フィールド API / ScalarField

客観的証拠

フィールド入門

Transient FFT

TimeSeries.fft(mode="transient") / TimeSeries._fft_transient

時系列 API / TimeSeries

客観的証拠

信号抽出

VIF 補正

calculate_correlation_factor()

スペクトル API / スペクトル推定

客観的証拠

ブートストラップガイド

予測時刻計算

ArimaResult.forecast()

時系列 API / TimeSeries

客観的証拠

ARIMA 応用

MCMC / GLS 尤度

fit_series() / GeneralizedLeastSquares

フィッティング API / gwexpy.fitting

客観的証拠

ブートストラップガイド

適応ホワイトニング

whiten() / WhiteningModel

前処理 API

客観的証拠

ML 前処理ケーススタディ


このページの読み方#

  • 共通の前提条件、時刻系、FFT 規約を先に整理したい場合は 前提条件と規約 を入口にしてください。

  • 監査メモより先に手を動かしたい場合は、要約表にある個別チュートリアルから該当手法だけ読むのが最短です。

  • 実装側の API を先に確認したい場合は フィールド API, Time Series API, Spectral API, Fitting API, 前処理 API を参照してください。

  • 検証の背景や監査メモまで追いたい場合は、後述の 客観的証拠参照元一覧、Audit Trail を参照してください。

各アルゴリズムの詳細と仮定#

1. k-space Calculation#

対象: gwexpy.fields.ScalarField.fft_space()

角波数の計算は、物理学の標準定義 \(k = 2\pi / \lambda\) に従っています。

前提条件・仮定:

  • 空間座標 (\(x, y\)) が**等間隔(Uniform Grid)**であること。

  • 非等間隔グリッドの場合は、事前に補間を行わない限り正しい波数軸は得られません。

参照元: S1

関連チュートリアル

関連 API

関連理論


2. Transient FFT (Amplitude Spectrum)#

対象: TimeSeries._fft_transient

密度スペクトル(PSD)ではなく、時間領域のピーク振幅を直接読み取れる振幅規約を採用しています。

前提条件・仮定:

  • 入力信号に窓関数が適用されていないこと(矩形窓を前提)。

  • 窓関数適用済みのデータに対しては、別途コヒーレント・ゲインによる補正が必要です。

参照元: S5

関連チュートリアル

関連 API

関連理論


3. VIF (Variance Inflation Factor)#

対象: gwexpy.spectral.estimation.calculate_correlation_factor()

Welch 法等におけるセグメント間のオーバーラップによる有効サンプル数の減少を補正します。

ここでの VIF は回帰分析の Variance Inflation Factor をそのまま指すのではなく、オーバーラップ窓による分散膨張補正をコード上で calculate_correlation_factor() として実装したものです。理論名と関数名が異なるのは、API では「相関補正係数を計算する」役割を明示するためです。

前提条件・仮定:

  • データが弱定常 (Weakly Stationary) であること。

  • 非定常なグリッチやステップ応答が含まれる場合、VIF は分散を過小または過大評価する可能性があります。

参照元: S2

関連チュートリアル

関連 API

関連理論


4. Forecast Timestamp (ARIMA)#

対象: gwexpy.timeseries.arima.ArimaResult.forecast()

GPS 時刻系における連続性を保証するため、LIGO 規約に従った歩進計算を行います。

代表的な更新式は forecast_t0 = t0 + n_obs * dt です。ここで、

  • t0: 元データ系列の開始 GPS 時刻

  • n_obs: 学習に使った観測点数

  • dt: サンプル間隔(秒)

を表します。

前提条件・仮定:

  • 時刻系は GPS 時刻(閏秒なし) であること。

  • UTC 等の閏秒が存在する時刻系でそのまま使用すると、将来予測時に 1 秒のズレが生じます。

参照元: S3

関連チュートリアル

関連 API

関連理論

5. MCMC / GLS Likelihood#

対象: run_mcmc, GLS

MCMC の対数尤度計算では、複素残差に対してもエルミート形式 r.conj() @ cov_inv @ r の実部を用いる実装を前提にしています。つまり、複素データを API にそのまま渡した場合でも、内部では複素共役を考慮した二次形式で評価されます。

前提条件・仮定:

  • 共分散行列 cov_inv がエルミート正定値に近いこと。

  • 複素残差は circular complex Gaussian に準じた扱いを想定しており、単純に実部だけへ切り捨てる挙動ではありません。

参照元: S5

関連チュートリアル

関連 API

関連理論


6. Adaptive Whitening#

対象: TimeSeriesMatrix.whiten_channels(eps="auto")whiten_matrix()gwexpy.signal.preprocessing.whiten()WhiteningModel

適応ホワイトニングでは、自動的に決まる安定化パラメータを用いて、非常に小さい PSD ビンや局所的な数値アンダーフローがあっても正規化が破綻しにくいようにしています。

前提条件・仮定:

  • ホワイトニングに用いる FFT セグメントの範囲では、データが局所的に準定常とみなせること。

  • 適応 eps は小さい分母を安定化するためのものであり、明らかに非定常なバーストや不適切な窓長設定まで補償するものではありません。

参照元: S4

関連チュートリアル

関連 API

関連理論


監査証跡 (Audit Trail)#

公開向けの監査証跡は、開発者向け・履歴管理用のレビュー資料へ直接誘導せず、 このページ内に要約しています。上の検証サマリ表で対象アルゴリズム群を示し、 各アルゴリズム別セクションで公開向けの前提、実装状況、関連理論への導線を記録しています。

次に読む#